「クロストーク:立沢トオル×片山正通」

立沢トオル(Bold.inc)×片山正通(Wonderwall)

立沢トオル(Bold.inc)×片山正通(Wonderwall)
inhabitantのクリエーティブディレクションを担当している立沢トオル氏(Bold.inc)[写真左]、 inhabitant Harajyuku Shopのショップデザインを担当した片山正通氏(Wonderwall)[写真右] に、富士山の見える家で語ってもらった。[文中敬称略]


立沢トオル(以下立沢)
インハビタント・ショップを作る場所として、ここを初めて見たとき、
まず片山さんの顔が浮かんだんですよ。
片山さんなら限られたスペースで、
なにか大胆なことで切り抜けてくれるんじゃないかと。

インハビタントというのは<原住民>。出たり入ったりする<レジテンス>とは違う。
で、アクションスポーツは入ったら、まず抜けれないでしょ。
そんな<原住民>インハビタントたちが、都心だけどくつろげる。
そんな場所、家のようなものにしたかった。

こんなアイディアを、片山さんのアイディアで返して欲しい、というのはすごいありました。
レシーブで返してほしい、斬り返してほしい、というのが。

片山正通(以下片山)
「どんな店にしますか?」とはもちろん聞かなくて、
「インハビタントってなんなの?」ってとこからインタビューを始めました。

なんでインハビタントというブランドネームにしたのかとか、
その辺にヒントがたくさん隠されているんですよ。

それは意味である<原住民>だったり。原住民という言葉に魅かれました。
いまは「世界に向けて」とか「外に外に」って傾向が強いけど、
実は足元がみえていなかったりすることが多い中で、
原住民=ずっとそこにいる。というスタンスがポジティブに表現されていて。

いまここが原宿で日本だとすると、それは原宿にいる原住民ということかな、とか。
そういうことをイメージしていたら、自然に家がでてきた。
ある原住民がいて、決してお金持ちでもないし、
ごくごくちっちゃなウチに住んでいるんだけど、
そのウチをつくりたいな、と思ったんですね。

で、もうそのまんま。
ショップは模型通りにできあがっているんですけど。
でも、やっぱりこんなのありえないですよ。
こんなにスペースないのに、さらに2つに割っちゃって。
庭があって、ガラガラっと引き戸を開けるとなぜか富士山があって。
それも三次元じゃなくって、二次元で、べたっと見えている。
しかも、地下なのに外。こんなのあるはずないだろ、と。

立沢
テーブルがあって。座れて。富士山見えて。
歓喜するじゃないですか。



片山
バイク屋なんかにあるじゃないですか。
和めて、買うんだか、買わないんだかわからないのがよく集まってて。でも結局意外と買っている、みたいな感じ。

立沢
で、こうやって実際に商品が並んでいるのも見たけど、
まあ、片山さんの模型を見た時点で、
僕の仕事はもう終わったぁ、て思ってたから。
あの時は感動しましたよ。

片山
僕もできたときに「うけるよなー」って。
床はモルタルで、汚れていくものだし、削れていくものだし、
庭に関しては砂だから、汚れたら混ぜましょう、みたいな。
あまり緊張感は求めないですよね。
徐々にくたびれていくのも、また良しかな、と思うし。
たとえば壁に誰かが落書きをしたとしても、
それはそれでかっこいい。そういうのもアリだと思うんですよ。

【立沢トオル氏】(Bold.inc
1994 自己発信型のビジネスをするためブランド"Bonzaipaint"を発足させる。
1996 (株)ビームス、翌年に(株)オッシュマンズジャパンとの取引きが始まる。
1998 法人化 。主な業務としては自社ブランドのアパレル企画及び卸売り販売。
1999 (株)フェニックスとデザイン、デザインコンサルタント契約。アクションスポーツブランド"inhabitant"を立ち上げる。
フジTV・東宝の映画『メッセンジャー』のポスターを制作。
2000 (株)ミスズの"Loopwheeler"へのデザインで英、仏国より評価を受ける。
2002 中目黒にパートナー二社と共同で直営ショップビル"GBL Shop"を出店。
【片山正通氏】(Wonderwall
2000年に自身のオフィス、Wonderwallを設立。以来、ストリートブランドからラグジュアリーブランドに到る数々のブティックをはじめ、有名企業のオフィスやショールーム、レストランなどの内装を手掛け注目を集める。その傍ら、プロダクトや家具などのデザインも手掛け幅広い分野で活躍。昨年には、オランダ・フレーム社より日本人として初の単独作品集「Wonderwall Masamichi Katayama Projects」が全世界にむけ同時発売。海外からも高い評価を得ている。